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「電動車いす」航空機持ち込み拒否は「人権侵害」、日弁連がエアアジアXに警告書
日本弁護士連合会(日弁連)は11月16日、電動車いすで航空機に搭乗することを拒否したことは人権侵害にあたるとして、マレーシアの航空会社でエアアジア社の関連会社である「エアアジアX」に11月10日付で警告書を発したことを発表した。
日弁連によると、身体に障がいがあり、電動車いすを利用している日本人男性が2014年3月、関西国際空港発クアラルンプール国際空港行の航空機に搭乗しようとしたところ、同社の係員から重量制限を理由に車いすの預かりを拒否され、航空機に搭乗できなかった。
航空券を予約する段階で電動車いすの情報を伝えていたが、その段階では何も注意はなかった。また、男性はこれまでも他の格安航空会社(LCC)をよく利用していたが、車いすの持ち込みを拒否されたことはなかった。その後、男性は日弁連に対して人権救済の申し立てをおこなった。今回の警告書はその申し立てに基づくものだ。
日弁連は、エアアジアX社の対応は、男性の移動の自由や平等権といった憲法上の人権を侵害するとして、人権侵害があったことを認め、男性に対する謝罪などの措置をとり、約款を改めるよう警告している。
日弁連人権擁護委員会委員長の加藤高志弁護士によると、警告書自体に法的拘束力はないが、日弁連の調査結果がその後の裁判で証拠などで利用されることはあるという。加藤弁護士は、「誠実に対応してほしい」と語った。日弁連からの事前の照会に対し、エアアジアXから回答はなかったという。
転落事案の天橋立に"注意の掲示”で「過剰反応すべきでない」、批判受けた運営会社も苦悩「正直やりたくなかった」
「股のぞき」で知られる日本三景の一つ「天橋立」(京都府宮津市)で起きた観光客の転落事故を受けて、「のぞき台」の真下にイエローの警戒色を使用した大きな「注意書き」が今年3月から設置された。
事故の原因が悪ふざけだったとみられることだけでなく、海と空のパノラマを味わえる景観が醍醐味だったことから、SNSでは「景観を損なう」「過剰に反応すべきではない」といった声があがっている。
そうした声は、公園の運営会社にも届いているが、「行政や警察に注意されたわけではなく、社内で決めた。二度目の事故は起こすわけにはいかない」と苦悩の末の対策だったという。
一つの事故をきっかけとして、多くの人の「楽しみ」が制限されることをどのように考えれば良いのだろうか。
アメリカ分断に加担した「カエルのペペ」、アスキーアートの「モナー」と共通点
アメリカのコミック『ボーイズ・クラブ』に登場するキャラクター、カエルのペペは「feels good man」(気持ちいいぜ)とつぶやく姿が、ネットで人気を博して、日本でもキャラクターグッズが販売されるほどになった。
しかし、2015年ごろから突然、ご機嫌なキャラのはずの彼は、オルトライト(アメリカの極右勢力)から祭り上げられて社会現象になってしまう。そして、ADL(名誉毀損防止同盟)から「ヘイトシンボル」として正式認定されるほど、ヘイターとして暴走していく。
マンガのキャラクターから極悪なネットミームとして、数奇な運命をたどったペペのドキュメンタリー映画『フィールズ・グッド・マン』が3月12日から日本で公開される。
原作者のマット・フューリーと、ペペを救い出そうとする『ボーイズ・クラブ』のキャラクターも登場する同作は、米サンダンス映画祭2020で審査員特別賞新人賞を受賞した。
なぜ、ペペは差別主義者の象徴にされてしまったのか。監督のアーサー・ジョーンズとプロデューサーのジョルジオ・アンジェリーニにペペの苦難と映画について語ってもらった。(ライター・碓氷連太郎)
もはや「韓流」だけじゃない! 多国籍の街「新大久保」に暮らして…ライター・室橋裕和さんに聞く
「韓流の街」として知られる東京・新大久保(新宿区)。JR新大久保駅の周辺、とりわけ改札を出て右側(東側)は平日でも韓国のドラマやミュージシャンのファンの女性たちで賑わっている。だが、駅を挟んで反対側には、別の世界が広がっている。ネパール語、ベトナム語、アラビア語……多様な言語の看板と、"ビミョー"なフォントの日本語の看板が混在し、まるで映画などで描かれるサイバーパンクの街並みだ。
そんな新大久保の一面を「再発見」したのが、ライターの室橋裕和さん(46歳)だ。
著書『ルポ新大久保』(辰巳出版)によると、戦前、新大久保からほど近い新宿・歌舞伎町に留学生を受け入れる「国際学友会」ができた(現在は移転)。戦後に新大久保で小規模ではあったが韓国人が暮らし始めた。1983年には中曽根首相(当時)が「留学生10万人(受け入れ)計画」を発表すると、「国際学友会」という土壌があった新大久保に日本語学校が増えた。また一方で、歌舞伎町で働く人たちの流入などもあり、長い時間をかけて国際化が進んだ。
現在、新大久保(大久保1丁目2丁目)の住民の35%が外国人であるという(2020年7月時点)。
新大久保で3年半暮らし、取材を重ねてきた室橋さんに、この地域の面白さと人々が抱える課題について聞いた。(土井大輔)
「美人だね」「スタイルいいね」「ちゃん付」は全てアウト? 意外と知らないセクハラの境界線
「頭を撫でられたり、『かわいい』と言われたり...これってセクハラになりますか?」──。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられています。
相談をよせた女性(20代)は、少人数の職場で男性上司から様々な行為を受けているといいます。頭を撫でられる、服や髪に「ゴミがついている」と触れられる、生理の話をされる、他の女性社員の体型や外見について話す、「かわいい」「美人」「スタイルがいい」など容姿に関するコメントをされるといった行動が日常的にあるそうです。
さらに「若い女の子が行った方が喜ぶ」「抱きしめてあげようか」と言われたり、「これセクハラになるかな?」と冗談めかして言われたりすることも。常に下の名前に「ちゃん」付けで呼ばれることにも不快感を持っているようです。
相談者は、このような上司の言動によって鬱状態に近い症状が出ており、通院を検討しているとのこと。「これはセクハラに該当するのでしょうか?」と訴えています。
共同親権を導入する民法改正要綱案「たたき台」、弁護士たちのコメント全文(1)
法制審議会の家族法制部会は8月29日、離婚後の子の養育をめぐる制度の見直しに向けた民法改正要綱案のたたき台を示し、離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」の導入を認める一方で、DVや虐待があった場合は例外としました。
弁護士ドットコムでは、会員弁護士に、たたき台についての賛否や意見などを尋ねるアンケートを実施し、176人から回答が寄せられました(実施期間:8月31日〜9月5日)。
「たたき台」について賛否を尋ねたところ、56.3%が「反対」、21.0%が「どちらかといえば反対」と回答し、「どちらかといえば賛成」、「賛成」と回答した14.3%を大きく上回りました。4回にわけて、弁護士から寄せられたコメント全文を紹介します。
公道カート「マリカー」に賠償命令、マリオコスチュームのレンタルなど禁止 任天堂が勝訴
任天堂は9月27日、公道カートのレンタルサービスを運営する株式会社マリカー(現在は株式会社MARIモビリティ開発)による知的財産権侵害の差し止めと損害賠償を求めて提訴していた裁判で、東京地裁が同日、マリカー社に損害賠償を命じたと発表した。
任天堂の発表によると、判決で、マリオ等のキャラクターのコスチュームを客にレンタルすることを禁止するなど、不正競争行為の差し止めと、損害賠償命令が下されたという。
任天堂は「長年の努力により築き上げてきた当社の大切な知的財産を保護するために、当社のブランドを含む知的財産の侵害行為に対しては今後も継続して必要な措置を講じていく所存です」とコメントしている。
一方、株式会社MARIモビリティ開発は「当社の主張が認められた部分については、当社の主張の正当性が裁判所で認められたことを喜ばしく受け⽌めるとともに、⼀部主張が認められなかった部分については誠に遺憾であり、内容を精査して引き続き対応して参ります」とのコメントを発表している。
国宝に「油のような液体」かけられる被害が続出・・・どんな「犯罪」になるのか?
国宝や重要文化財などに、油のような液体がかけられる被害があいついでいる。同種の被害が全国の寺社に広がっており、報道によると、4月16日までに確認されただけで、計9府県、33カ所におよんでいるという。
奈良県の東大寺では、国宝の大仏殿や南大門にある仏像の台座などに油のシミのような跡が付いていた。京都府の二条城や東寺、千葉県の成田山新勝寺でも被害が見つかっている。
現場の状況から、何者かがペットボトルやスプレーを使って、液体をふりまいたとみられる寺社もあり、警察は文化財保護法違反などの疑いで捜査を進めているという。国宝や重要文化財に液体をかけた場合、法的にはどんな問題があるのだろうか。大川一夫弁護士に聞いた。
アマゾンの「空飛ぶ宅配便」 小型無人飛行機「ドローン」の配送は日本では実現困難?
「空飛ぶ宅配便」が、頼んだ商品を届けてくれる——。米アマゾン・ドットコムは7月上旬、小型無人飛行機(ドローン)による商品配送システム「アマゾン・プライム・エア」の実用化に向けて、米連邦航空局(FAA)に屋外試験飛行の許可を申請した。
報道によると、米国では現在、趣味などで上空122メートル以下を飛ぶ無人機は合法だが、商業利用での飛行は禁止されている。同社は今回、例外的な措置として、同社の研究施設があるシアトル近郊の屋外でテストするための許可を申請している。
同社は2015年までに、最大2.3キログラムの荷物を30分以内に購入者の玄関先に届けるための配送システムの実現を目指している。実現すれば「夢の宅配便」になる可能性もあるが、無人で空を飛ぶだけあって、法的なハードルは高そうだ。米国でも実現可能なのかは未知数だが、仮に日本で同様のサービスを実用化しようとする場合、どのような法的課題があるのだろうか。小林正啓弁護士に聞いた。
強盗に入られたら、どこまで反撃していい? 94年前にできた「盗犯等防止法」が定める正当防衛の基準
闇バイトなどを実行役に使った強盗事件が相次いでいる。もし強盗に押し入られた場合、私たちにはどこまでの反撃、防御ができるのか、気になるところだ。
刑法の特則である「盗犯等防止法」は、被害者が現在の危険を排除するためであれば、強盗や窃盗などの不法侵入者を殺しても罪に問わないと規定している。
条文だけみれば「斬り捨て御免」のバイオレンス感漂う法律だが、なぜこんな特別法が生まれたのか。そして実際の事件ではどのように運用されているのだろうか。(ジャーナリスト・角谷正樹)